カテゴリ:art( 10 )

光 松本陽子/野口理佳

c0012176_9275683.jpg松本陽子から見る。
ピンク色の画面、羽毛みたいな筆の運び。
アクリルの白がほんとに光みたい。
2005年ぐらいから、油彩を使った緑色の画面や
ベージュっぽい画面の水彩作品が現れるのだが
色の微妙な境界に、明るい色のパステルなどで描かれた
軽妙なエッジが走っていて、それがまるで書みたいで
気持ちよくて、ずっとその線を追いかけてしまう。

野口理佳。
凄いな。フジヤマ、太陽、マラブが好きだ。
好きな写真はけっこう画面を覚えるものなんだけど
彼女のはべつのを見てから戻ってきて見返すと
あれこれ見たっけと思うことが多いのはなぜかな?

企画展として、二人をどうして? という疑問は
最後まで解消しなかったけど、
それはそれとして十分楽しめた。
ちょっと感動しました。芸術の秋です。

光 松本陽子/野口理佳
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by rocketwriter | 2009-10-03 09:28 | art

アイ・ウェイウェイ展 何に因って

c0012176_2041306.jpg肩が痛くて、歳だなー。
このところ相当こってたと思うけど自覚症状はあまり無く
それやこれや、寝違えたりしたのが、塵も積もれば山となり
朝、ベッドから起きるのに10分以上かかるような
首と肩と背中の痛みになってしまった。

「治ったら本気でストレッチと運動しよう」
「治ったらロードレーサーを買おう」
「治ったら温泉に出かけよう、治る前にも行こう」
さて、実現するのはどれでしょう?

そのような中、秋が到来って感じだ。
「光」 松本陽子/野口里佳 (新国立美術館)
「何に因って」 アイ・ウェイウェイ(森美術館)
「言葉・時間・生命」 河口龍夫(近代美術館)

早速、肩の痛みにウンウン唸りながら、アイ・ウェイウェイに行く。
なんでもパズルっぽく解体して再構成する人らしいのだが
中国四千年?の職人技を駆使して再構成する工芸っぽいのよりも
写真のほうが面白かったかもしれない。
一つひとつの写真はどってことないし、展示も斬新ってわけでもないんだが
見ていて妙に共感できるというか、何故だろ?
オリンピックで有名になった建築もイケてると思った。
ヘルツォーク&ド・ムーロンとは他の物件もやってるのだな。

にしても森美術館ってダメダメ。毎度言ってるけど。
美術展のチケット代に展望台料金を加算するセンスは何だろう?
アートと、高層ビルのパノラマを一緒くたにして平然と商売する
森ビルという企業体の痴性が恥ずかしい。
六本木なんて物欲しそうな街に巣くってるのはどれもそーか。
今日は毒を吐いて終り。 ドロン!
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by rocketwriter | 2009-09-23 20:42 | art

覚え書き…臨界をめぐる6つの試論

写真の現在3 臨界をめぐる6つの試論
Photography Today 3: Resolution/Dissolution

という長ったらしい名前の展示を見る。

伊奈英次、相変わらず。WATCHは確かに
ズラリと張り込むしかないし、COVERもやはり
ベッヒャー的に大げさに見せるしかないような。
結果として、対比というより、単に違う仕事が並べられた感がある。
WATCHの写真1個1個が、妙にスナップ写真してるのがおかしい。

向後兼一、パンフとかではDMみたいだなぁと思ったが
展示されるとそれなりに悪くない。北欧インテリアを思い出す。
作家の根底に社会性があったとしても、お洒落に見えちゃう。
そんなこんなで、畠山風の工事現場より、自宅の写真がいい。

小野規、ちと古いかも。はぐらかすような展示はなぜ?
Study for a garden 嫌いじゃないのだが
どっちにしても、思想背景をテキストで表示しないと
伝わらない写真というものに、あまりドキドキさせられない。

浅田暢夫、海、海…個人的な問題ではあるのだが
海を見せられると怖くなって、落ち着かず、想像が勝手に走る。
視点の位置が面白く、カラヴァッジオあたりの色遣いも思わせ
海ってずるいな、などと思いつつも好き。

北野謙、複数の人物を重ねて焼き付けたとあるんだけど
それでもって本当にああいう個を持ったような顔になるのか?
プリント技術の問題じゃないとすると現象として凄いし
でもベースは一人のようにも見えるし…ちょっと不思議。

鈴木崇、ありがちだけど、嫌いじゃない。
白っぽい水面だけを撮ったのがあって
それが、前ピンな撮影手法だと、気持ちいい。
この手のは、ビデオで似たような手法とられると
不利なような気もするのだが…どうなんだろ。

というわけで、カタイけど、楽しんだ。
国立近代美術館の写真展は毎回、タイトルといい
なんかアカデミック臭がキツい気もするが
狙いがハッキリしてるぶん、クリアに見ることができるのがいい。
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by rocketwriter | 2006-11-24 10:23 | art

大竹伸朗/全景

東京都現代美術館、大竹伸朗「全景」。

入場チケットを買って、エスカレーターで三階に上がって
最初に入ったフロアの、最初の展示で、頭が飛ぶ。

あとは、夢のような、めくるめくような、瞬くような、叩きつけるような
線やら色やらカタチやら閃光やらを、ぼう然と追っかけて、ひたすら疲れた。
それでもときどき、彼の気みたいなのが飛び込んでくると
そのたびにいっぱいになって、涙と鼻水が出る。

実はあんまり大竹伸朗を知らない。
たまに見かけて凄いなと思ってたぐらいで
なんとなく日本最高の画家かなとか、形式上片づけていたところがある。

でもその日、そんなのはもう、どうでも良くなって
所狭しと張りまくられた無数の額やら彫刻やらが
美術館のちっぽけな壁と空間を完全にぶっ壊して
濁流のような彼のエネルギーとともに、轟音という名の無音を発しながら
目の前で震えている、その力と速度とまっすぐさに、馬鹿みたいに驚いた。
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by rocketwriter | 2006-10-22 17:05 | art

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展

c0012176_23433449.jpgプライスコレクション「若冲と江戸絵画」展

気になっていたので行ってきた。
二日酔いでフラフラしながら炎天下の上野を歩く。
超混雑の会場では、休み休み散漫に見る。
引いて見ることができない…。
こんな混雑で入場料1300円は無いだろう。

それでも、作品は良かった。若冲かっこいい。
墨で書かれた「鷲図」とか「鶴図屏風」に釘付け。
「配置」と「線」、そのふたつに尽きる。

逆にカラーで描写されまくった屏風や、目玉のモザイク画は
「配置」と「線」の凄みが曖昧になってしまっていないだろうか?
日本画の日本画たる部分に、若冲の魅力はないのかもしれない。
原美の束芋も見に行きたかったのだけど、時間切れになってしまった。
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by rocketwriter | 2006-08-19 23:43 | art

カルティエ現代美術財団コレクション展

c0012176_2133162.jpgカルティエ現代美術財団コレクション展、最終日に駆け込み。
昼過ぎまで雨だったせいか、客の入りも想像よりは少ない。
それでもチケット買うのに並んで、人数制限の作品は行列がぎっしり。

コレクション展なので、展示セレクトとかはあんなもんじゃないかと。
とは言え、初っ端のライザ・ルーのビーズジオラマからして楽しい。
ジャン=ミシェル・オトニエルのへんちくりんなガラスアートも惹かれる。
デニス・オッペンハイムのまんまる目ん玉もいかす。
松井えり菜の作品は、最近どっかで見かけた気がするけど
会場では本人が一生懸命、作品のゼンマイを巻き続ける。かわいい。
ウィリアム・ケントリッジの木炭画によるショートアニメも泣けた。
雨の上がった庭に、ぼよよんと置かれたパナマレンコの潜水艦も好き。

でもって、写真が思いの外、良かったではないですか。
川内倫子の作品はいわゆる私系なんだが、6×6がいい。
つーか後半の35mmは失速感が若干。でもいいな。
こういうパーソナルな写真は、日本の、特に女の子は向いている。
ナンゴールディンのより、よっぽど良い。
そして森山大道。やっぱ凄いです。
荒木さんとの差は歴然だろうな。
特にポラロイドの連続写真、ぐりぐりキテます。

・・・・・・
ラストは毎度の美術館インプレ。
入場料、1500円も取っておいて、解説も渡してくれない。
各作家の展示スペースには、申し訳程度に
パウチされたリーフレットが数冊ずつ置かれていて
ひどいのになると1冊も無いし、あっても取り合いになってる。
建物の素っ頓狂な動線も笑えないし、ファサードやエントランスの作りも意味不明。
展示空間は黄色っぽいツルツル床と、安っぽい石膏ボードな壁のコントラストが寒い。
区のイベントスペースが、寸法だけ巨大になったような、妙なスケール感の乏しさ。

秋には大竹伸朗ということで、別の美術館でやってくんないかなー。
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by rocketwriter | 2006-07-02 21:13 | art

人間の未来へ~ダークサイドからの逃走

水戸芸術館の現代美術センターに行った。
水戸へ用事があると、必ず寄ることにしていて
今回も親戚の不幸にかこつけて、半ば強制的に寄ってみる。

やっていた展示はこれ
以前、足繁く通った頃はキュレーションに感心した覚えがあるけど
それに比べると、かなり甘めの企画ではある。
でもこういう時代だから、それなりの価値はあるんじゃないかとも思う。
入口で手渡される解説が以前より押しつけがましくなったのは減点だ。

残り1時間弱というところで入って、追い立てられるように回ったから
じっくり見たいのに…という作品が幾つか出てしまった。
特に、イランのシリン・ネシャットの映像はもっと見たい感じで残念。
ビル・ヴィオラの作品は最初から最後まで見ることができた。
アバカノヴィッチ、ゴームリーあたりも良い。
事前に見た解説ではピンと来なかった橋本公のインスタレーションもグッときた。

実は12人の作家のうち、5人が写真作品という展覧会だったんだけど
こういう直裁なテーマの前で、写真は良さを発揮できていない。
特に、広河隆一と長倉洋海は、もろ、戦争をプリントして持ち込んだ。
その対象が“現実の悲惨”であることが、一種の白々しさに繋がっていないか?
悲惨な風景を切り撮って、それを並べて、傍観者以外の何を装うのか
作家にそのへんの覚悟というか、見せ方というか、とにかく根本的な何かが欠けていて
ところどころに張られた谷川俊太郎の詩に、どうにかすがっているように見えてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりに行った水戸芸は、ずいぶん建物が歳を取っていて
昔の学校の廊下を思わせる、ムク木の床もささくれて、壁の白もくすんでいた。
単に古くなったというより、展示空間がほどよく、馴染んできている。
磯崎新は、きっとそこまで考えたんだろうな。
東京都現代美術館や六本木ヒルズの美術館にも、そういう良さがあったら良かったんだけど。
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by rocketwriter | 2006-03-27 23:34 | art

変わりゆく「現実」と向かい合うために

c0012176_19434983.jpgやっと行けた「ドイツ写真の現在」。
場所は竹橋の東京国立近代美術館。
ほんとうに久しぶりで、リニューアルしたのも知らなかった。
アリンコチェアがいっぱいありました。

企画展のテーマは、変わりゆく「現実」と向かい合うために。
すべての現代写真に突きつけられた、究極のテーマでもあるだろう。
ひとりひとりの作家の歴史を追えるほどの作品量ではないものの
観た後で心地よい充実感につつまれたと思う。
特にトマス・デマンド以後の展示は楽しかった。

立派なパンフレットと、解説メモがついて
さらにはアウグスト・ザンダー展、近代美術の常設展まで観られて
650円という料金も、六本木の某と比べると妥当でしょう。
解説リーフレットは少々説明が過ぎたのと
各展示室にいる監視員(?)が目障りなのは改善してほしいけど
空間的にもキュレーション的にもいい美術館だと思う。
なんとクイーン・アリスの直営レストランまであるらしい。

残るは横浜美術館の李禹煥と、川村記念美術館のゲルハルト・リヒター
残り時間も少なくなってきたけど、さて、行けるでしょうか?
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by rocketwriter | 2005-11-06 19:45 | art

杉本博司展 時間の終わり

c0012176_15223777.jpgアークヒルズに用事があったので
ついでに六本木ヒルズに寄り道。杉本博司展を見る。
興味ある方はこちらを。

好き嫌いで言うと、好きな画面を作る人である。
でも改めて見て、ずっとは見ていられないかもと思った。
かなり広い展覧会場を小一時間で出る。

写真のかっこいい面をたくみに利用しつつ
アートでございって感じで大上段に構えているから
もの凄いモノを見た気にはなる。
でも一方で、写真の限界や特性はこんなものという風に
限定した上で、頓知的な発想で勝負している気も。
ブレがないし、作り込みが上手だから、分かりやすい作品ではあるけれど。

ジオラマ、ポートレート、劇場、建築、仏の海などなど
どれも最初の発想以外は対象に頼り切っていて
観念の形シリーズなどは単なる物撮りのお洒落版に見えた。
作家の意図する何かが画面に存在せず、最初からわかっている以上
さらっと見ても十分お腹一杯、という感じになっちゃうといったら生意気か?

それぞれのシリーズに作者本人の解説があって
例えばジオラマシリーズの冒頭では、詳細は覚えてないけど
ジオラマそのものは嘘くさいのに、モノクロ写真にすると現実(のよう)になる
みたいなことが書かれていた。
なるほどね、確かに背景のマット画が本物みたいになったかも。
でも、映画のセットとして、本物に見えるように研究された結果
リアルになったのがジオラマなんだから
最初から写真(動画)に写し込むための技術を、敢えて写真に撮った
そういうパロディ的なところが、杉本作品の持ち味だったはずなのにね。
なんか、全体に神がかった物言いの解説が多いのは辛かった。

それと森美術館、お金はかかってるけどどこか違うんだなぁ。
人の動線を寸断して引き回すような建物だからしょうがないけど。
美術館に行くのにも何人ものスタッフが各所でこっちですって案内してくれるけど
彼らの日当をカットするだけで、1500と高額な鑑賞券、半額以下になるんじゃない?
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by rocketwriter | 2005-10-26 15:21 | art

ゲージツの秋

雨ばっか降ってやる気ないですけど
ひょんなことから人生ターニングポイントっぽいので
どっかにお出かけして刺激されたい気分。

まずは横浜美術館でやってる李禹煥の展示
昔から気になる人で、今まさに共感できそうな予感。

今年は写真の展示も色々。まずは
国立近代美術館のドイツ写真の現在が面白そう。

カメラ買って写真に興味が出た、なんて人がいたら
カメラ雑誌見るより、できればこういうのを覗いて欲しいな。
世界の写真の「今」は、少なくともカメラ雑誌などには載っていないんで。

東京都写真美術館では今年いっぱいかけて写真の歴史をまとめた。
今まさに、四部構成の最終章=現代の写真(少々古い気もするけど)をやってる。
ウェブサイトトップページのアラーキーの写真をクリックすると
すでに終わった展示も含めて、テキストでまとめられた写真史が読めて便利。
「写真はものの見方をどのように変えてきたか」。
「見る」っていうシステムに対する写真の挑戦の歴史が、少しは見えるかも知れない。

さあて、幾つ行けることやら。
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by rocketwriter | 2005-10-11 00:22 | art